元記事
競馬PRESS
https://number.bunshun.jp/articles/-/855122?page=1
「「生理になると、先頭で逃げたくない…」25歳で突如引退、大分のアイドルジョッキーが直面していた“性差”「競馬場では男子トイレを使っていました」」
2022.10.30
本文抜粋
1994年、大分県の地方競馬・中津競馬場でデビューした女性騎手・小田部雪。
アイドル的人気を博すも不況による競馬場の廃止、移籍、引退と激動の20代を送った。
仲良く喋っているだけで「付き合っている」と噂されました
――まさに一挙手一投足が注目されていたんですね。一緒に仕事をする競馬関係者の間でも、プライベートや恋愛関係など噂をされたことは?
小田部 自販機にジュースを買いに行った時、偶然会った人と仲良く喋っていると、「付き合っている」と噂されました。中学生みたいですよね(笑)。車に一緒に乗っているのを見られると格好の餌食でした。でも、もうしょうがないと思って噂は受け流していて、堂々と同年代の騎手たちと一緒に遊びに行っていました。
――それだけ女性が少なかったんですね。
小田部 中津ではご年配のご夫婦で厩務員をされている方はいましたけど、騎手は私一人ですし、若い女性はいなかったような記憶です。
――そうなると、「女だから」と言われるようなことはありませんでしたか?
小田部 私はそういう扱いを受けたと感じたことはありませんでした。男兄弟の中で育って、「女だから」と悩んだ記憶もありません。周りの人たちも私のことを女と思っていなかったんじゃないかな (笑)。
女子トイレがなかったので、男子トイレを使っていました
――かえってその方が仕事はしやすそうですね。
小田部 厩舎で生まれ育ったので、生まれた時から私を知っている方も多かったですし、幼馴染のお父さんと一緒にレースにも乗っていました。みんな親戚みたいな感じもあったと思います。逆に、みなさんに女を見せないように気を使うことはありました。たとえば、レースの時に穿くズボンは白色で生地も薄くて透けるので、必ず一番黒いタイツを下に穿いていました。真夏は炎天下で暑かったですけど、想像以上に透けるんですよね。着替えも、みんながレースVTRを見るのに集中している隙に壁の向こうでパパっと着替えたりとか。
――他に男性が多い競馬界に女性騎手として入って苦労したことはありますか?
小田部 中津では女子トイレがなかったので、男子トイレを使っていました。これもみんながレースを見ている間とかにパッと行っていましたけど、行きたい時に行けないので……。しかもトイレの個室は扉を開けると階段が2段あって、その上に和式トイレ。扉には下の部分に隙間があったので、和式トイレにしゃがむと下から見えないか不安だった記憶があります。もし今から改装する地方競馬場があるのなら、女子トイレは作ってあげてほしいです。
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