剣道の部活中、気軽にトイレに行ける袴(はかま)がほしい――。
そう考えた同志社高校1年の今井涼香さん(16)が脱ぎ着しやすい「墓まではいていたい、はかま」を考案し、特許を取得した。
思いをどう形にしていったのか。その背景を聞いた。
元記事
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN9L7234N8TPLZB01K.html
「剣道の袴、脱ぎやすく 高校生が特許 きっかけはトイレ」
2020.09.19
本文抜粋
剣道の試合前は水分を控える
中学2年の時、小中学生の発明や特許取得などをサポートする会社と連携した授業で、「身の回りに目を向け、役立つものを作る」という課題が出ました。
まず、「寝耳に水」ということわざから「耳に水が入る目覚まし時計」を考えました。
でも、実際に耳に水が入ったら危ない。
「光で起こしてくれる目覚まし時計」も考えましたが、すでに存在していることが分かりました。
なかなか良い案が浮かばない中、剣道部をヒントに考えたのが、脱ぎ着しやすい袴でした。
剣道は中学で始めました。
無心で打ち込め、細かい駆け引きで勝敗が決まるところが魅力です。
でも、袴はトイレで脱ぎ着するのに時間がかかる。
試合前、「水分を取るのを我慢せなあかん」という声をよく聞きます。
私自身、試合直前は我慢していました。
「ファスナーを使ったらすぐに脱げそうだな」とぽんと思いました。
ファスナー付きの袴を考案
一般的な袴は、脱着に2分ほどかかります。
ファスナーをどこにつけたら脱ぎ着が楽になるのか、悩みました。
初めは股の部分や横に付ける案を考えました。
でもうまく脱ぐイメージがわきません。
すでに特許を取得している袴の形状も調べた結果、腰の位置で横に開くファスナーなら脱ぎやすいことが分かりました。
ファスナーを外すと布が上下に分かれます。
内側に縦ひももつけ、布が落ちないように工夫しました。
見た目は一般的な袴とほとんど変わりませんが、15秒ほどで脱ぎ着ができます。
通っていた道場の先生からも「袴にチャックなどに関する規定はなく、公式の試合でも使える」とお墨付きをもらいました。
シルバー人材センターの方に試作品を作っていただき、理想の袴ができあがりました。
想像でしかなかったものが形になり、充実感もあるし、うれしい。
7月に特許を取得し、部員から「着たい」と言ってもらえました。
思いつきで名前をつけましたが、ずっとはいていたくなるような袴になったと思います。
さらにファスナーの位置などを改善し、商品化につなげるのが目標です。
今後も身近なところで発想を変え、いろんなものごとにチャレンジしたいです。
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